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あきら
50代サブエガランナー(PB 2:46:27)
2025年に早期退職し、現在はランニング関連の活動をライフワークにしています。

加齢による伸び悩みから「根性論」を脱却。ゼッケン・ウェアの空気抵抗の低減、ドラフティングを活用した走り方、カフェイン戦略など、微細な改善の積み重ね「マージナル・ゲイン」による進化を信条としています。

当ブログでは、エビデンスに基づく最新のランニング科学を、市民ランナーの視点で噛み砕いて発信。「賢く、科学的に速くなりたい」あなたの挑戦を、理論と実践の両面からサポートします。

【2026年】Polar Verity Senseレビュー|Garmin心拍の精度問題を解決

ポラールヴェリティセンス
ランナーAさん

Garminの心拍数、なんか変じゃない?

そう感じたことがあるなら、この記事はきっと役に立ちます。私自身、Garmin Forerunner 265の手首計測に不満を感じ、Polar Verity Sense(ポラール ヴェリティ センス)を導入しました。結論から言うと、もっと早く買えばよかったと後悔しています。

この記事では、チェストベルトでもリストバンドでもない「第三の選択肢」であるアームバンド型心拍計について、物理学・生理学の観点と実走体験の両面からレビューします。

目次

なぜGPSウォッチの心拍計測は不正確なのか?

まず、手首計測の限界について科学的に理解しておきましょう。GarminやApple Watchなどのリスト型心拍計には、構造上避けられない2つの弱点があります。

ケイデンス・ロック現象

ケイデンスロックの図解

リスト型心拍計が採用するPPG(光電式容積脈波記録法)は、LEDの光が血流の変化を検出する仕組みです。問題は、ランニングの適正ケイデンス(150〜190spm)と有酸素〜高強度の心拍数帯(150〜190bpm)が、周波数帯域として完全に重複していることです。

手首は「鞭の先端」のような位置にあり、着地衝撃と遠心力でノイズが最大化します。その結果、アルゴリズムが心拍ではなくステップ数を心拍として誤認識し続ける現象が起きます。ジョグで実際は140bpmなのに180bpmと表示される、あの「おかしな数値」の正体がこれです。

寒冷環境での血管収縮

寒冷環境と血管収縮

人体は寒冷下で中心体温を守るため、末梢血管(手首・指先)を強力に収縮させます。これは血管収縮(Vasoconstriction)と呼ばれる生理学的反応です。

手首の血流が減少すると、光学センサーが読み取るべき「信号」が消失します。冬場の走り始めに心拍数が異常に低く出るのは故障ではなく、生理学的な必然なのです。

GIGOの法則:ゴミが入れば、ゴミが出てくる。

VO2maxや乳酸閾値(LT)は直接の測定値ではなく、心拍数とペースの関係性から導き出された「推測値」です。もし心拍数が誤って高く記録されれば、VO2maxは過小評価され、リカバリータイムは不必要に長くなります。デバイスは嘘をつきませんが、誤った入力に基づいて誤診をするのです。

チェストベルトは完璧だが、快適ではない

「じゃあチェストベルトを使えばいい」という声が聞こえてきそうです。確かにPolar H10などのチェストベルト型は、心筋の電気的興奮を直接検出するECG方式を採用しており、医療用心電図との相関はr>0.99と絶対的な信頼性を誇ります。

しかし、私がチェストベルトを手放した理由は明確です。

胸部の圧迫感と呼吸への影響、使用ごとの洗浄と乾燥の手間、そして冬場の冷たいパッドの不快感。インターバル走やHRV計測を極めたい「精度オタク」には最適解ですが、日常のトレーニングで毎回装着するのは正直しんどい。

第三の選択肢:アームバンド型の物理的優位性

ここで登場するのが、Polar Verity Senseに代表されるアームバンド型心拍計です。同じPPG(光学式)でありながら、装着位置を「上腕」に変えることで、リスト型の弱点を克服しています。

解剖学的な優位性

手首は骨と腱が多く、着地衝撃が増幅される「ノイズの震源地」です。一方、上腕は筋肉と脂肪がクッションとなりセンサーが安定します。さらに、肩(支点)に近いため遠心力が極小化されます。

つまり、アームバンド型の精度の秘密は、高性能なセンサーだけでなく「設置場所の物理的優位性」にあるのです。

手首VS上腕

血管収縮への耐性

上腕は体幹に近く太い血管が通っているため、寒冷時でも血流が維持されやすい部位です。手首では信号が消失するような真冬の条件でも、上腕なら安定して計測を続けられます。

心拍計4タイプ比較:チェスト vs アームバンド vs GPSウォッチ

ここで、代表的な心拍計・GPSウォッチを比較してみましょう。Polar Verity Senseは、チェストベルトの「精度」とGPSウォッチの「手軽さ」のいいとこ取りをした、まさに「第三の選択肢」と言えます。GPSウォッチの心拍精度に不満がある方は、Verity Senseを外部心拍センサーとして併用することで、データの信頼性が大幅に向上します。

スクロールできます
商品名Polar Verity SenseCOSOS PACE 4Garmin FR 265Polar H10
タイプアームリストリストチェスト
計測方式PPG(光学式)PPG(光学式)PPG(光学式)ECG(電気式)
精度(安定時)最高
HIIT追従性良好遅延あり遅延あり即時
快適性最高超軽量日常使い可圧迫感あり
冬場の安定性安定血管収縮の影響大血管収縮の影響大電極乾燥に注意
バッテリー約30時間GPS約41時間GPS約20時間約400時間
防水50m5ATM(50m)5ATM(50m)30m
重量バンド込み17g32g47gバンド込み60g
価格約15,000円約36,000円約55,000円約14,000円
詳細・価格 Amazon Amazon Amazon Amazon

実走レビュー:ロング走・ジョグ・インターバルで検証

HR-monitor-running-image

ここからは、私がPolar Verity SenseをGarmin Forerunner 265と組み合わせて使った実体験をお伝えします。

真冬でも起動直後から正確

最も感動したのは、冬場の安定性です。気温5℃以下、かつ腕を激しく動かすような条件(リスト型だと必ず不正確になるシチュエーション)でも、起動直後から最後まで終始正確に計測できていました。

Garmin内蔵の光学心拍では、走り始めの10分ほど心拍数が50〜60bpmと異常に低く表示されたり、逆に170bpm程度と高く表示されたりする現象がよく起きていました。どちらにせよ、実際の体感とかけ離れた数値です。Verity Senseではそれがありません。

インターバル走での追従性

HIITインターバル走におけるHRモニターの追従性

短いインターバル走(30秒ダッシュなど)では、リスト型は平滑化処理による技術的遅延が加わり、表示が10〜30秒遅れます。心拍が上がりきる前に休憩に入ってしまい、トレーニング効果が「ゼロ」と判定されるリスクすらあります。

Verity Senseは上腕装着により信号が安定しているため、遅延は最小限。チェストベルトの「即時性」には及びませんが、実用上は十分な追従性を感じました。

装着感の解放感

これは数値に表れない、でも最も大きな変化かもしれません。チェストベルトの胸の圧迫から解放され、リスト型で正確に計測しようと手首を締め付ける必要もなくなりました。

そして地味に嬉しいのが、チェストベルト特有の「あの視線」から解放されたこと。シングレットで走っていると、胸のバンドがブラジャーっぽく見えてしまい、正直恥ずかしい思いをしていました。アームバンド型ならその心配は皆無です。

胸バンドが他心拍計とアームバンド型心拍計の比較

装着位置は上腕部(力こぶのあたり)です。ここでポイントなのが、ゴムバンドの締め付けは手首ほど強くする必要がないということ。腕を伸ばした状態で心拍計がズレ落ちない程度、「少し緩いかな?」と感じるくらいで十分です。

なぜなら、走っているときは肘を曲げた状態が基本。肘を曲げると上腕は自然と太くなるため、バンドが適度にフィットしてずれることなく正確に計測できます。この「緩めでOK」という感覚が、長時間つけていてもストレスを感じない理由です。

ウェアの袖の下に隠せるため、見た目もスッキリ。装着していることを忘れるくらい快適で、「心拍計をつけるのが面倒」という心理的ハードルが完全に消えました。

Garmin Forerunner 265とのペアリング:ANT+を推奨する理由

Polar Verity SenseはBluetooth(2ch同時)とANT+の両方に対応しています。Garmin Forerunner 265もどちらにも対応していますが、私はANT+での接続をおすすめします。

ANT+の利点

ANT+はフィットネス専用の通信規格として設計されており、Bluetoothよりも干渉を受けにくく、データ受信が安定すると言われています。特にマラソン大会のように多くのランナーが密集し、さまざまなデバイスが飛び交う環境では、この安定性が効いてきます。

また、ANT+は複数デバイスへの同時接続が容易なため、将来的にサイクルコンピューターやジム機器と併用する可能性を考えると、ANT+で統一しておくメリットは大きいでしょう。

ペアリング手順

設定方法は簡単です。Garmin Forerunner 265の「センサー」メニューから「センサーを追加」を選び、Verity Senseの電源を入れた状態で検索すると、ANT+心拍センサーとして認識されます。一度ペアリングすれば、次回からは自動接続されます。

【要注意】電源オフの落とし穴:マラソン当日のトラブル体験

ここで、私が実際に経験したトラブルをシェアします。これを知らないと、レース当日に泣くことになるかもしれません。

スマホアプリから電源オフは厳禁

Polar Verity Senseには「謎仕様」があります。Polar Flowアプリから電源をオフにすると、USBに接続するまで電源がオンにならないのです。本体の電源ボタンを押しても、まったく反応しません。

私はこれを知らず、マラソン当日に電源が入らないトラブルに見舞われました。仕方なくGarmin Forerunner 265の内蔵光学心拍で計測しましたが、案の定データは正確ではありませんでした。レース後に心拍データを見返しても、ペース配分の振り返りに使えない残念な結果に。

Polar-flow-screen-shot

対策は2つ

ステップ1:アプリから電源オフは使わない スマホアプリから電源オフの機能は絶対に使わないこと。本体の電源ボタンでオン・オフする習慣を徹底してください。

ステップ2:遠征時はUSB充電アダプター必携 万が一アプリから電源を切ってしまった場合でも、USBに接続すれば復旧できます。遠征時には必ずUSB充電アダプターを持参しましょう。

この2点を守れば、トラブルを未然に防げます。

どんなランナーにおすすめ?デバイス選びのフローチャート

最後に、あなたに最適な心拍計を選ぶための指針をまとめます。市民ランナーの90%にとって、アームバンド型が快適性と精度のベストバランスを提供すると私は考えています。

Q. 0.1秒を争う精度が必要?HRVテストや乳酸閾値テストをする?

Polar H10(チェストベルト型) がベスト。ECG方式の絶対的精度は譲れません。

Q. チェストベルトは嫌だけど、Garminのデータ信頼性は守りたい?

Polar Verity Sense(アームバンド型) が答え。快適性と精度のスイートスポットです。

Q. データより手軽さ優先?荷物を増やしたくない?

GPSウォッチ内蔵の光学心拍 で十分。ただし限界を理解して使いましょう。

まとめ

  • リスト型心拍計は「ケイデンスロック」と「血管収縮」という物理的限界がある
  • アームバンド型は装着位置の優位性で、光学式でも高精度を実現
  • Polar Verity Senseは快適性・精度・バッテリーのバランスが優秀
  • ANT+接続で安定性アップ、アプリからの電源オフは厳禁

トレーニングの限界を決めるのは、あなたの肉体であるべきです。誤ったデータであってはなりません。

リストバンド型の生理学的限界を理解し、アームバンドという「第三の解」を取り入れることで、あなたのGarminは真のコーチへと進化します。1万5千円程度の投資で、日々のトレーニングデータの信頼性が劇的に向上する。これほどコスパの良いアップグレードは、なかなかありません。

精度は、選択である——ぜひあなたも、データの整合性に投資してみてください。

心拍計以外にも、マラソンPB更新に効果的なギアを知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

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