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あきら
50代サブエガランナー(PB 2:46:27)
2025年に早期退職し、現在はランニング関連の活動をライフワークにしています。

加齢による伸び悩みから「根性論」を脱却。ゼッケン・ウェアの空気抵抗の低減、ドラフティングを活用した走り方、カフェイン戦略など、微細な改善の積み重ね「マージナル・ゲイン」による進化を信条としています。

当ブログでは、エビデンスに基づく最新のランニング科学を、市民ランナーの視点で噛み砕いて発信。「賢く、科学的に速くなりたい」あなたの挑戦を、理論と実践の両面からサポートします。

マラソン攻略シミュレーターに気温補正機能を追加!暑いレースで何分遅くなるか科学的に予測

ランナーが10℃下、20℃下で走っている際の暑さを表現する図

「今度のマラソン、暑そうだけど目標タイムはどれくらい調整すべき?」

そんな疑問を持つランナーのために、マラソン攻略シミュレーターに気温補正機能を追加しました。学術研究に基づいた計算式で、レース当日の気温が予想タイムにどう影響するかを自動で計算します。

この記事では、新機能の使い方と、その背景にある科学的根拠を解説します。

目次

気温がマラソンに与える影響は想像以上に大きい

「暑いと遅くなる」ことは感覚的にわかっていても、具体的に何分遅くなるかを把握しているランナーは少ないのではないでしょうか。

実は、気温によるパフォーマンス低下は学術的に詳しく研究されています。

研究でわかっていること

  • 最適気温は7 〜 15℃(WBGT 5 〜 10℃)
  • 最適気温を超えると、気温上昇に伴いパフォーマンスが低下
  • 遅いランナーほど気温の影響を大きく受ける

特に3つ目のポイントは重要です。エリートランナーと市民ランナーでは、同じ気温上昇でも影響の大きさがまったく異なります。

科学的根拠:180万人のデータが示す気温とタイムの関係

マラソン攻略シミュレーター、研究・データ分析のイメージ

今回の機能実装にあたり、複数の学術論文を調査しました。

主要な参考研究

研究データ規模主な知見
Ely et al. (2007)7大マラソン、36年分WBGT 5℃上昇ごとの低下率を算出
El Helou et al. (2012)6大マラソン、180万人最適気温は走力によって異なる
Racinais et al. (2022)1,258レースWBGTが最も予測精度が高い

180万人のフィニッシャーデータを分析した研究があるなんて、マラソンの科学はすごいですね。

走力別の低下率

Ely et al.の研究では、WBGT(湿球黒球温度)5℃上昇ごとの低下率を順位別に算出しています。

ランナー層低下率/5℃目安タイム
トップ30.9%約2:10
25位1.1%約2:25
50位1.5%約2:40
100位1.8%約2:50
300位3.2%約3:00

サブ3ランナーは、エリートの3倍以上気温の影響を受けるという驚きの結果です。

なぜ遅いランナーほど影響が大きいのか?

  • レース時間が長い → 高温に晒される時間が長い
  • 体重あたりの発熱量が大きい → 体温調節の負担が増加
  • ペース維持のための余裕度が小さい → 限界に近い状態で走っている

実装した計算式

複数の研究データを統合し、以下の計算式を導出しました。

気温調整の計算式

調整タイム = 基準タイム × [1 + 0.0001 × h^3.6 × max(0, T - 10)]
  • h: 目標タイム(時間単位)
  • T: 気温(℃)
  • 10℃: 最適気温(これ以下では調整なし)

べき指数が3.6と大きいため、目標タイムが長いほど影響が急激に大きくなる特徴があります。

具体例:サブ3目標ランナーの場合

気温予想タイム遅延
10℃(最適)3:00:00±0
15℃3:04:36+約5分
20℃3:09:13+約9分
25℃3:13:50+約14分

東京マラソンの平均気温は約10℃前後なので最適に近いですが、かすみがうらマラソン(4月)や北海道マラソン(8月)など、暖かくなる時期のレースでは要注意です。

新機能の使い方

使い方はとても簡単です。

STEP
気温スライダーでレース時の気温を設定

0〜35℃で設定できます

STEP
シミュレーション実行をクリック

数秒でシミュレーション結果が出力されます

マラソン攻略シミュレーター温度設定のUI

シミュレーション結果(東京マラソン 10℃ vs 20℃)

同じサブ3目標でも、気温によってこれだけ差が出ます。

10℃の場合

  • 予想タイム: 3:00:37
マラソン攻略シミュレーター、東京マラソン、10℃での結果

20℃の場合

  • 予想タイム: 3:10:04
  • 遅延: 約9.4分
マラソン攻略シミュレーター、東京マラソン、20℃での結果

約9分半の差は大きいですね。暑いレースでサブ3を狙うなら、そもそも走力に余裕が必要ということがわかります。

警告表示について

高温時には自動で警告が表示されます。

気温警告レベル
25℃以上⚠️ 高温注意
28℃以上🔥 危険
30℃以上🚨 極めて危険(レース中止検討)

この機能を使った賢いレース戦略

気温補正機能を活用すれば、より現実的なレースプランが立てられます。

1. レース選びの参考に

過去の気温データを調べて、目標達成しやすいレースを選びましょう。

1月〜3月初旬の大会は気温が低くてお勧めです。
一例を挙げると、

  • 別府大分毎日マラソン(2月上旬): 平均約9℃
  • 大阪マラソン(2月下旬): 平均約7〜10℃
  • 東京マラソン(3月上旬): スタート時平均約8℃

2. ペース設定の調整

暑いレースでは最初から控えめなペースで入ることが重要です。

普段の感覚で突っ込むと、後半に大失速するリスクが高まります。シミュレーターで気温を設定し、調整後のペースを目安にしてください。

気温補正後のタイムを「この条件での実力発揮」と捉え、無理のない目標設定をおすすめします。

まとめ

行動喚起、マラソン攻略シミュレーターを使いたくなるイメージ
  • マラソン攻略シミュレーター v1.1.0で気温補正機能を追加
  • Ely et al.など学術研究に基づく計算式を実装
  • 遅いランナーほど気温の影響を大きく受ける(サブ3で約3.2%/5℃)
  • 10℃が最適気温、それ以上で自動的にタイムを調整
  • 高温時は警告表示で熱中症リスクも通知

暑いレースに出る予定がある方は、ぜひシミュレーターで現実的なタイムを確認してみてください。

参考文献

  1. Ely MR, et al. (2007) Impact of weather on marathon-running performance. Med Sci Sports Exerc. 39(3):487-493
  2. El Helou N, et al. (2012) Impact of Environmental Parameters on Marathon Running Performance. PLoS ONE 7(5):e37407
  3. Racinais S, et al. (2022) Effects of Weather Parameters on Endurance Running Performance. Med Sci Sports Exerc. 54(1):153-162

免責事項 この調整値は学術研究に基づく統計的推定です。個人差(暑さへの耐性、暑熱順化状態など)や当日のコンディションにより、実際のタイムは異なる場合があります。


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